夏真っ盛りにぴったりなブリリアントな1枚。
どうせ暑いのだから、暑さを楽しんでしまおう!
このジャケットはレコード史に残る名作と信じます。
天使のように身を反らして片手でトランペットを吹くチェット。
ヨットに海、青い空。
タイポグラフィ背景の黒が最高のアクセントです。
バップスタイルが多いアルバムですが、チェットらしいメロウな曲も入っていますのでガッカリすることはないでしょう。
ボーカルは1曲、'Line for Lyons' で歌っています。
軽快なリズムで始まる冒頭の 'To Michkey's Memory' から気持ちのいいサックスとのユニゾンが聴けます。
ぶっきらぼうな低域が印象的なボビー・ティモンズのピアノも本当にcoolで、今の時代でもモダンに感じます。
ティモンズはこの後アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズのメンバーになります。
チェット・ベイカーが凄いのはデビュー直後が奏者として最高の状態だったように思えるところです。
後年の枯れたチェットの音色を、この若く輝かしい演奏に探すのも感慨深いものがあります。
56年の録音ですのでモノラルですが(モノラルだから、と言いたいところですが)オーディオ的にもいい音してます。
チェットについてはたくさんの思い出がありますので、また稿を改めたいと思います。
今回はアルバム初出時のライナーの冒頭を翻訳してみます。
「1956年をぶっ通しでクラブやホールで楽しんでいた熱烈なオーディエンスにとって、このアルバムはチェット・ベイカーのカルテットをそのままスライス見本にしたようなアルバムだろう。
全米中で聴かれ喝采されたグループがここに収められている。
だが話はそれだけではない。
新しいチェット・ベイカーがヴェールを脱いだ、ということだ。
このアルバムのチェットはジェリー・マリガン・カルテットやアナーバーでの彼とは異なる。
変わったといってもラディカルなものではなく独特の音色は残したままだ。
時の経過だけがもたらすような変化である。
威厳をもって語りかけるような演奏に、これまで見たことのなかった火花が輝く。」
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